地域のニーズに支えられて

佐世保には、アメリカのプロテスタント系の慈善団体である、ワールドミッション・ツー・チルドレンの活動がありました。
彼らは、朝鮮戦争の休戦後、佐世保に帰還してきた米兵と、日本人女性との間に生まれた混血児の養育のため、併せて、キリスト教の伝道のために、送られてきたのです。
本部のあった佐世保ばかりでなく、佐賀市、大川市、唐津市などに、キリスト教布教の拠点は広げられ、活動は、積極的に展開されました。
しかし、こうした活動も、2001（平成13）年に、日本での働きを停止しました。それまでに育てられた子供たちの数は、約100人、日本の社会も落ち着き、布教活動も一段落するに及んで、宣教師は帰国したのです。
社会福祉法人光の子福祉会は、このワールドミッションの活動にルーツを持つものです。最初の法人の施設は、1973（昭和48年）に開設された乳児保育園です。初代理事長・河野敬一は、このワールドミッションで働いた日本人の責任者の一人でした。
光の子は、その後保育園、学童保育の児童保育の分野は言うに及ばず、1997年（平成9年）にはケアハウス、さらにデイサービス、グループホーム、特別養護老人ホームなどの老人介護の分野も担うこととなり、今では、学校法人の光の子グレースこども園を含めて、保育、幼児教育、老人介護にわたる、広い事業を運営しております。
私は、2016年（平成28）年に、初代理事長、河野敬一の後を継いで、第2代理事長に就任しました。
もともと、私たちは、ルーツがそうであるように、地域のニーズに寄り添って、その声に促されて、一つ一つ事業を広げてきました。
事業拡大が目的ではありません。創立の精神をこれからも引き継いで、地域の皆様のお役にたてるよう働いていきたいと思います。
これからもどうか、ご支援ください。

2019年（令和元年）6月
末瀬　昌和